サイバーエージェントと大阪大学、東急不動産ホールディングスは3者共同研究プロジェクトとして、ホテルにおける人型ロボットを活用した接客の実証実験の結果を発表しました。

同プロジェクトで目指すのは、ロボットの特性を活かした接客サービスの深化。

人の業務の代行ではなく、「人をもてなし、満足度を向上させる」ロボット接客に向け、研究開発を進めます。

特に接客対話の自動化に注力しており、人のような自然な会話が可能になれば、ホテルにおける接客ロボットが人間らしい情報メディアとなり、広告媒体としての活用など、新たな展開が期待できるといいます。

 

ロボット接客の挨拶の好感度は?

長期滞在にも対応する都市型ホテル「東急ステイ高輪」を舞台に、卓上型対話ロボットの「CommU(コミュー)」と「Sota(ソータ)」を用いて検証しました。

廊下に1台、エレベーターホールに2台を配置し、人を検知すると適切なタイミングで人に話しかけ、挨拶をします。

計18通りの対話のパターンを用意し、ロボットが積極的に挨拶する効果などについて、宿泊客にアンケートをとりました。

その結果、ロボット開発を担う大阪大学教授で工学博士の石黒浩氏によると、ロボットが積極的に挨拶をすることは、好意的に受けとめられた。

適切な挨拶が評価され、ホテル側からは「お客様の機嫌がよくなった。おもてなし感を提供できている」という感想も。

さらに従業員からも、ロボットに話しかけられることで「気持ちよく働くことができた」という想定外の効果もあったようです。

東急不動産R&Dセンター取締役副センター長の山内智孝氏は「導入前は少し懸念があったが、お客様の反響が非常によく、スムーズに受け入れられた」と手ごたえを語りました。

その上で、「人的サービスの至らないところが助けられ、ホスピタリティが深化することが最大の関心事。

ロボットとの共同コミュニケーションによってお客様との対話が進化していくことを期待している」と、プロジェクトに対するホテル側の期待を語りました。

開発は4段階で考えており、現在はまだレベル1~2の間。

レベル3は直接的に宿泊客の質問に多言語で応答が可能。

レベル4にはホテル内の各所でロボットが社会性を見せながら連携して働き、快適な環境を提供する世界の実現を描く。

実用化の見通しは立っていないが、レベル3以上の到達がひとつのめどになるといいます。

レベル3の到達には1年半~2年程度を見込んでおり、オリンピックも視野に入れつつ、接客対話技術の研究開発に取り組んでいくとしています。

 

人にできないロボットの役割とは?

今回の実証実験には「新しい『おもてなし』と『新しい広告媒体』に関する研究」というテーマも含まれている。

サイバーエージェント上級執行役員の内藤貴仁氏は今回の取組みについて、同社の広告事業における新局面への対応であることを説明しました。

消費者の接触メディアがPCからスマホへ移行し、その次のフェーズはロボット接客やIoTなど、スマホ以外の日常に接触するリアルな空間でのコミュニケーションになるとの判断です。

その場面を想定した広告ビジネスを作るのが目的です。

特に内藤氏は、従来のPCやスマホなどのネット広告について、(GoogleやFacebookなど)「米国の企業が支配的だった。

我々はそれを販売してきたが、次のロボットの広告ではローカライゼーションの技術でしっかり戦いたい。

そこで共同研究的な取り組みを強化している」と言及しました。

同社が広告ビジネスとしてロボットなどの新メディアに注力する理由を強調しました。

ロボット接客の実用化の際には、サイバーエージェントが広告部分を含めて営業を行ないます。

一方、石黒氏は人型ロボットを使用した理由を説明します。

石黒氏は、今後訪れるロボット社会でも人型ロボットが増えると考えており、その根本には「人は人を認識する脳を持つ」「人にとって最も関わりやすいのが人である」ことといいいます。

スマートスピーカーなど、ボイス対応のデバイスが増えているのはその前兆であり、「世の中のインターフェースが人に近づき、情報メディアは人らしくなっていく」と説明。

さらに石黒氏は、会話や接客の場面において、人型ロボットだからこそできることがあるといいます。

例えば、プライベートな会話をホテルスタッフにされると、場合によってはプライバシーを侵害される気持ちになるかもしれないが、ロボットであれば気にはなりません。

プライバシーを保ちながらコミュニケーションを行ない、存在感もある、これらの両立はロボットならではのものだと話します。

これが広告媒体として活用できる可能性です。

「宿泊客にとって目的が合致しない広告は邪魔にしかならないが、きちんとした提供をすれば情報として喜ばれます。

ホテルの条件を上手に活かしながら、ホスピタリティの中で広告を出せることが考えられる」と語ります。

なお、ロボット接客のホテルで先行するエイチ・アイ・エス(HIS)の「変なホテル」は、生産性の向上を主軸にロボットの機能を付加。

本プロジェクトとは対極からアプローチで、顧客満足に繋げていきます。

ホテルのロボット接客でも今後、多様な展開が期待できそうです。

 

まとめ

テクノロジーの進化で、次々にロボットの役割が増え、人の役割が減っていく時代に突入しました。

しかし、人が出来なくてロボットに出来ること、ロボットが出来なくて人に出来ることがそれぞれあるはずです。

人とロボットが共存したサービスを発展させていくことで、人とロボットの役割が明確化し、サービスを提供する側と受ける側の満足度も上がっていくのではないでしょうか。

 

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